中国語の「就」という単語は、使用頻度がかなり高い単語です。
よく出てくるわりに「その使い方や意味がすっきりと分からない」というのは多くの中国語学習者の悩みだと思います。
「就」には意味がいくつかあり、それらがどれも綺麗に訳せない。だから難しく感じ分かりにくいのです。
そのため本記事では、本気で説明・解説をしました(いつも本気ですが)。ここを読めば「就」の意味と使い方にはもう悩むことはなくなります。
中国語に触れて約20年近くの私が、どこよりも分かりやすくできるだけ簡単に解説しました。
なお、「就」は動詞、前置詞としても使われますが、ここではよく使う副詞の用法について主に解説します。
中国語の文法全体については「中国語文法の総まとめ」もあわせてご覧ください!
目次
「就」は時間的な近さを示す
「就」は日本語に訳すとすれば、「すぐに」「もう」「とっくに」といった意味をあらわします。
発言者が感覚的に「早い」と感じるときに使います。
これだけだと分かりづらいので例文をひとつ見てみましょう!
tā huí jiā jiù shuì jiào le
他回家就睡觉了
彼は帰ってくるとすぐに眠りにつきました。
この例文は、「就」がなくても文章としては成り立ちます。
他回家睡觉了 (彼は家に帰って寝た)
この「就」がない場合には、彼が帰ってきてから寝るまでのあいだの時間的距離があいまいです。
そこに「就」が入ってくると、「帰った瞬間」と「寝た瞬間」の時間的距離がぐっと近くなります。切迫さが出ます。
だから翻訳としては「すぐに」ということになります。
「他回家=彼が帰った」のと「睡觉了=彼が眠った」という2つの出来事を「就」が切迫性をもってつなげている、というニュアンスです。
この時間的な距離の近さを表現するのが「就」と考えてもらっていいと思います。
さて、なぜこんな抽象的な回りくどい話をしたのかというと、この距離感の近さという「就」のもつイメージが、ほかの意味を理解する上でキーになってくるからです。
次の例文いってみましょ〜!
tā yī suì jiù huì shuō huà le
她一岁就会说话了
彼女は1歳のときにもうすでに話すことができました。
この例文の場合も時間的な距離の近さを表現しています。
発言者は「1歳で」「話す」のは早いと感じているため、それらを「就」でつないでいるのです。
ここでの距離感の近さというのは主観的な判断を含んでいます(一歳で話すのが当たり前なら「就」は使いません)
ものすごく大雑把な言い方をすれば、「就」というのはその前後に出てくることを、短い時間や距離でつないでいるようなイメージです。
iPadを使って初めて書いたイラスト(?)なんです、ご勘弁ください!
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就と才の違い:「才」は遅いときに使う
この「就」の対極にあるのが「才」です。
この「才」のイメージもつかむことで、なおいっそう「就」の持つイメージが明確になるので見ていきましょう!
「才」は時間的に「遅い」と感じるときに使われる副詞です。
あくまで感じる主観的な時間感覚が主です。だから、感情が多少はいった表現として使われることが多くなります。
次の2つの文章を比べてみましょう
wǒ men xiàn zài jiù chū fā
我们现在就出发
私たちはいますぐに出発する
wǒ men xiàn zài cái chū fā
我们现在才出发
私たちはいまやっと出発する
「就」のほうは「今まさにすぐに出発するよ」という切迫さを表しています。
一方で、「才」のほうは「今になってようやく、やっと」というニュアンスが出ています。
発言者としては「今出発するのは遅い」と感じているため、「才」が使われています。
もう1つ例文を見てみましょう!
ào tè màn guò le sān fēn zhōng jiù huí qù le
奥特曼过了三分钟就回去了
ウルトラマンは3分経ってすぐに帰った
ào tè màn guò le sān fēn zhōng cái huí qù
奥特曼过了三分钟才回去
ウルトラマンは3分経ってようやく帰った
「就」のほうは、「3分たったらすぐに帰ってしまった」というニュアンス。
一方で、「才」のほうは「あの青と赤のキモいヤツ、やっと帰ったよ」とニュアンスがあります。
「就」はウルトラマンが惜しまれていて帰ってほしくないニュアンス、「才」はウルトラマンが疎まれていてさっさと帰ってほしいニュアンスがあるのが伝わりますでしょうか。
いろんな近さを表し、前後をつなげる「就」
さて、「就」のほうの使い方に戻りましょう。
時間的な近さを表すのが「就」だと説明しましたが、時間だけではなく、事情や条件なんかもつないでしまいます。
chī le bīng qí líng nǐ jiù huì lā dù zǐ le
吃了冰淇凌,你就会拉肚子了
アイスを食べたら、おなかを壊すよ
「アイスと食べるとおなかを壊す」の「と」の部分のつなぎを担っているのが「就」になります。
これは時間的な距離感というよりも、条件的な親和性=出来事のつながりの強さをあらわしています。
辞書的な翻訳だと「〜ならば…..である」というふうになります。
時間のときと同じで、「就」はその前後に出てくるものをスムーズにつなぐ役割をしているわけです。
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「就」を使った言い回し
「就」を使った決まった表現について紹介しましょう。
基本的な意味は、上で説明した前後をスムーズに(ときに切迫さをもって)つなげる役割です。それを念頭に置きながら例文を見ていきましょう!
「只要…..就…..」
zhǐ yào nǐ zài wǒ shēn biān wǒ jiù hěn xīn fú
只要你在我身边,我就很辛福
あなたがそばにいてくれさえすれば、私は幸せです。
前半で条件・環境をあらわして、それを「就」が後ろの文章「私は幸せ」にスムーズにつないでいます。
「一….. 就…..」
yī kàn jiù zhī dào tā shì jī qì rén
一看就知道他是机器人
見るとすぐに彼がロボットだと分かった。
これは「一….. 就…..」という決まった言い方になっていますが、「就」の意味としては原則的には同じです。
「見る」と「知る」の時間的距離がものすごく近いわけです。
だから「見るとすぐに分かった」という翻訳になります。
「就要….. 了」
míng tiān wǒ jiù yào huí guó le
明天我就要回国了
明日わたしはもうすぐ帰国します。
これも決まった言い回しです。
「我要回国了」と「就」がなくてもほぼ同じ意味になります。
これに「就」をつけるとどういうニュアンスが加わるか分かりますか?
そうです、「就」は前後をスムーズにつなげる役割があるので、より切迫した感覚をもった表現にすることができます。
「もう、ほんとすぐに帰国してしまう」というニュアンスが出てくるのです。
就是
tā jiù shì wǒ nǚ péng yǒu
她就是我女朋友
彼女は私の彼女です。
これも「就」のない文章=「她是我女朋友」としても成り立ちます。
「就」を入れると、「まさに」「彼女こそ」といった強調の意味合いが出てきます。
「〜だけ」「〜のみ」の意味の「就」
zuó tiān jiù tā méi huí jiā
昨天就他没回家
昨日は彼だけ帰宅しなかった。
この「就」の使い方は、上で説明してきたものとは少し違ってくるので、項目を分けてみました。
ここでは「只 zhǐ」と同じ意味で使われています。
「〜だけ」「〜のみ」、英語であれば「only」の意味です。
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まとめ
「就」の持つイメージがなんとなく分かったのではないでしょうか?
その前後のものをスムーズに、ときに切迫さをもってつなげるのが「就」の主なイメージでした。
その真逆の意味をもつのが「才」という単語だということ説明もしました。
「才」は「やっと」「ようやく」といったニュアンスを持っています。
また、「就」には「〜だけ」「〜のみ」といった少し特殊な意味もあるということも最後に説明しました。
なお、中国語の勉強法については「おすすめの勉強法と参考書・アプリのまとめ」に詳しく書いたのでぜひご覧ください。
中国語の文法事項ついては「中国語文法ーその特徴と各項目を総まとめ」にどこよりも分かりやすくまとめているのであわせてご覧ください。
それでは今回はこの辺で。
再见~!