中国のシェア自転車の趨勢と今後

こんにちは!kammyです。

NHKの「ちきゅうラジオ」に再び出演予定です!

4月21日(土)の予定ですが、まだネタもはっきり決まっていないので、直前までどうなるのか分かりませんが・・・笑

その出演用に準備したネタがボツになったので、もったいないのでここに載せてみます(笑)

それなりによくまとまっているとは思うのですが、話題が硬すぎるという理由で採用されませんでした。

シェア自転車の話です。確かにものすごく硬い・・・笑

シェア自転車に関する見方ー急速に普及せざるを得なかった

ついでに(?)、シェア自転車に関する日本語の記事をざっと検索してみました。

下記が中国的特徴を捉えていて面白いです。

中国でシェア自転車が急成長した根本原因 “先を越されたら負けという切迫感”

特に2ページ目の「短期間で成長せざるを得なかった」という分析は秀逸だと思います。

中国では、新しいビジネスを思い付いたら、「急速に普及させるか」「やめるか」の2択。

「やる前にまず考えて」ゆっくり慎重に拡大していく、という日本的には一般的な方法では成功しない。

よいアイデアならすぐに誰かに真似されてしまい市場を奪われてしまうからです。

だから、シェア自転車も急速に普及せざるを得なかったという話。

なるほどと思いました。

別記事で取り上げた占いミルクティーの創業者も同じような感覚をもっているはずです。

だからわずか2ヶ月で200店舗以上もの加盟店を決め、急速な拡大をはかる。

誰かに真似される前に、自分がオリジナルだということを周知させる。

そのためには猛スピードで拡大をはかるしかないわけです。

その記事には書きませんでしたが、爆発的に人気に火をつけた「抖音」というアプリ以外にも、他のさまざまなSNSを使って急速な口コミ拡散を狙っていたようです。

それでも、すでに各地には占いミルクティーの模倣品が出ているはずです(笑)

ティックトックと占いミルクティー

2018年4月5日
重慶のビル群

中国でシェア自転車がほぼ普及していない都市

2018年1月27日

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シェア自転車の趨勢と今後

【要約】

ここ数年、中国のどの都市でもシェア自転車を見かけるようになった。2016年に北京で初めて導入されて以来、短期間で急速に普及した。現在は新規参入する企業は収束しつつあり、街中の増加した自転車の管理問題とデポジット返金問題が焦点になっている。今後は大手数社に絞られ、行政と協力して管理の本格化が進む見通し。また、大手各社は日本を含めた海外進出にも積極的だ。

【詳細】

シェア自転車はここ1-2年で急速に普及したサービス。少し大きな都市であれば、目をつむって歩いてもシェア自転車にぶつかると言われるほど、膨大な数のシェア自転車が普及した。

基本的な利用方法は、各自転車についているQRコードを読み取り、アプリを通じて決済情報などが確認されると、目の前の自転車のロックがはずされるかたち。各自転車は位置情報で管理されており(電源はソーラーが多い)、利用者がどこでどのくらい利用したかが把握される。

利用者は使い終わったらロックをかけるだけ。施錠された旨の通知がアプリを通じて利用者に通知される。金額は提供会社によって異なるが平均的には30分1元(約17円)

決済はスマホ決済。ただ、日本人でもクレジットカードがあればアプリ(日本語)をインストールすることで、すぐに使えるものもある。

急速に普及したのは、スマホとスマホ決済の普及によって誰でも利用しやすくなっていることや、利用料が安いこと、そして何よりどこでも乗り捨てができる利便性が大きかったと言われている。中国国内だけで2017年末現在、延べ2.27億人が利用しているとされる。

ただ、街中の自転車が多くなるにつれて、2017年中盤ごろから乗り捨てられた自転車の管理(保全、修理、整理)が問題になってきた。バス停や駅付近には大量の自転車が乗り捨てられたり、または、秩序のない乗り捨てられ方が多くなってきた。さらに投入後ある程度時間がたったこともあり、壊れて乗ることができなくなった自転車の放置も社会問題化している。

そうした状態を緩和するため、私がベースとしている浙江省義烏でも昨年11月ごろから街中の自転車の管理が強化されるようになり、綺麗に並べられたりするようになった。

義烏では、シェア自転車の総数が11万台を超えるが、維持・管理するスタッフは100人あまりしかいない(ひとりあたり1000台を管理しなくてはならない:今年初めのデータ)。義烏政府は、一定基準に満たない企業は退出させる規制を制定。

また、近隣の浙江省杭州市でも同じようにシェア自転車の過剰供給が問題視されており、現行の3分の1の量に減らすことが目標とされている。

管理の問題と並んで、デポジット返金の問題もある。デポジットとは、シェア自転車を利用する際に支払う保証金(100元から300元くらい)。企業倒産や経営難に伴い、2017年後半からデポジットが返金されないという苦情があいついでいた。急速に企業数が増加したが、採算が合わなかったり、資金調達ができなかったりしたためだ。

3月15日の世界消費者権利デーにあわせた中央テレビ局の生放送のテレビ番組では、シェア自転車のデポジット問題がとりあげられた。消費者協会の調査によると、最大で約70数社あったシェア自転車企業のうち、34社がすでに倒産、10億元以上(約170億円)のデポジットが返金困難と報道された。

今後のシェア自転車市場は、大手2-3社に絞られ、新しい段階に入っていくとみられている。

3社とは、ofo小黄车、摩拜单车、哈罗单车。それぞれ大きな資本が後ろについている。

デポジット問題を受けて、一定基準を満たせばデポジット無しで乗れる企業が増えている。デポジットを資金プールにして、それを金融資産として運用することで利益の源泉としていたのがシェア自転車のもともとのビジネスモデル(利用料で儲けていたわけではない)。そのことを考えても、デポジット無しの流れは、大手のみが生き残っていく趨勢に拍車をかけると思われる。

大手各社は各自転車がどこでどのように誰に使われたかをまとめてビックデータとして利用し、地方政府と協力して管理をしていく都市も出始めている。デポジット無しの趨勢の中では、このビックデータが利益の源泉になっていくのだろうと思われる。その意味でも大手に絞られる趨勢は止まらないはずだ。

同時に、大手シェア自転車各社は海外への進出もすすめている。最大手のひとつである摩拜单车(mobike)は、今年6月から日本の20都市に進出する計画をすすめている。日本の福岡や札幌ですでに試験的に導入を開始している。本格的な進出の計画では、コンビニなどと協力して乗り捨て場所が先に決められた上で、サービスが開始される予定だ。

【個人的感想】

これだけ普及した後に、管理の問題が議論されるのは中国的な特徴のように思います。

日本であれば、まずサービスが始まる前にどこに乗り捨てるかの議論がされる。実際に、日本進出の計画では、乗り捨て場所があらかじめ決められた上でサービス開始が予定されているようです。そうした事前準備はなく、「とにかく始めてみて」「走りながら考える」のが中国式。管理の問題が先に議論されていたら、これだけの数が普及することはなかったでしょう。

乗り捨て自由が中国で急速に普及した大きな要因だったことを考えると、中国のように提供企業や街中の自転車が急速に増えることは日本ではなさそうで、徐々に広がっていくかたちになりそうです。

重慶のビル群

中国でシェア自転車がほぼ普及していない都市

2018年1月27日
綺麗に並べられた中国のシェア自転車

シェア自転車にみる中国人の「とにかくやってみる精神」

2018年1月26日

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