中国の高速道路。
最近でこそETCの料金所があり、取り付けている車も多いです。
ただ、まだまだ人間のスタッフの窓口がたくさんあり、数的には人の窓口の方が多いです。
高速に入る時は、機械のボタンを押してチケットを受け取り、それを出口で人に手渡しして料金を支払うかたち。
この辺りは日本と変わりないのですが、最近、この窓口スタッフのサービスが格段に上がっていたので驚きました。
それはもう天と地、月とスッポン、いやアリとキリギリスぐらいの(?)違いなのです。
中国の人も驚き、そして思わず笑ってしまうほどのレベルで、「絶対に人に不快感を与えない10の接客術」とかいう本があったら、確実にそれを教科書にしているだろう思われる感じ。
従来の窓口スタッフは、もうそれこそ素っ気なさの塊といっていいようなものでした。
車が入ってきたのをさっと一瞥すると、チケットを渡すよう手を差し出してきます。
このときスタッフは車の方を向いておらず、車が走って来た方角を、さらにはその向こうに続く景色を遠く眺めていることがほとんど。
そしてこのスタッフの姿勢は、基本的に最後まで維持されます。
動くのは肘から先の腕と首だけですが、首の可動範囲は30度くらいのみ。
料金が確定すると、金額が前面の電光掲示板に表示されるか、もしくはボソッとスタッフが呟きます(その場合もこちらをほぼ見ず)。
こちらがお金を手渡すと、それをさっと取り上げ、お札の場合にはそれが偽札かどうかが確認された後、お釣りがある場合には、投げるように手渡されます。
「投げるように」というのは比喩で、車の窓に向かって投げてくるわけではないのですが、あたかも投げるかのように気だるそうに差し出されるのです。
これが電車や地下鉄のチケット窓口だと実際にお金が投げられて飛んできたこともありますが・・・笑
最後に「ありがとうございます」とか言った挨拶はもちろん無く、お金が確認された時点で前のゲートが開き、車は何事もなかったように走り出すのが従来の窓口サービス。
ある意味、ロボットや機械のような対応です。
それが最近、180度の転換を遂げました!
まず、車が料金所に入ってくると、窓から綺麗な角度で曲げられた片手がそこで止まるように促してきます。おそらく腕の角度は100度とか決まっているのだろうと思います。
指の先まで緊張感が漂うまっすぐと伸ばされた気持ちのいい手のひら。
車が窓口の横までくると、満面の笑みでスタッフが出迎えます。
と同時に綺麗に出されていた腕はさっと降ろされ、腰のあたりに綺麗に置かれる様が見て取れます。
この時、驚くべきことにスタッフ身体は車の方を向いています。
チケットの受け取りから、最後に車が出て行く時まで、スタッフは終始、満面の笑み。
作られた仮面を付けているのではないかと思うほど、徹底的に教育された様子が伝わってきます。
なにせ数ヶ月前までは別の意味でロボットのような対応だったわけです。
ただある意味、転換後のスタッフもロボットのようで、いろんな部分の角度が厳密に決められていそうな雰囲気を醸し出しています。
口角は上に30度、肘から先は100度みたいな。
本来、中国の接客は基本的にとても冷徹と感じることが多いです。
今でこそ業種によっては接客サービスがかなり高くなっていることもありますが、基本的には必要以上のやりとりはせず、笑顔もありません。
そういう土壌にありながらも、十数年前に、マクドナルドだけは「いらっしゃいませ」から入る笑顔の接客がされていて、資本主義の強制力にとても驚いたことがあります。
その時と同じようなショックを今回の高速料金所のサービス革命で受けたのですが、政府色の強い高速料金所でなぜ最近になってサービス改善が行われたのか?その謎はよく分からないままではあります。
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