こんにちは!kammyです。
メディアをみる中国人の変化
外務省で20年以上つとめたOBから聞いた話。
その人は、中国語圏で長く勤務した経験があり、かなり中国に通じています。
天安門事件のころから中国との関わりが続いているので、相当長い付き合いです。
メディア関連の話になったときにその人が言っていたのが、
「中国人はかなり成熟した視聴者になってきている」
という話でした。
1970年代後半に起こった改革開放の前までは、中国人も中国政府のことを鵜呑みにし、かなり素直にプロパガンダ的なものも信じていたと言います。
当時はそれしか情報源がなかったからです。
たしかに、以前ここでも紹介しましたが、一人っ子政策が他国でも当たり前に行われていると信じている年配の方はけっこういます。
これは、政府が計画出産は世界的に当たり前なのだということを示してきたからだし、当時は他に情報源がなかったからです。
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インターネットと経済交流による変化
外務省OBの人も、中国に赴任した当時は、掲示板に貼られた人民日報をじっくりと読み込む人たちをよく見かけたといいます。
それが、改革開放とともに対外的なつながりが生まれてくると変化が生まれます。
それに加えて、インターネットの発展はかなり大きな影響を与えたはずです。
海外に実際に足を運ぶ人が増えたことも大きな要因でしょう。
どんなかたちにせよ、「外」との関わりが増えてくると、中国人のメディアへの見方も変わっていきます。
Q. 夜7時からの全国ニュースの中で、正確な情報は何か?
A. その始まる時間だけ。
なんていうジョークがありますが、これもそうした時代背景から生まれてきたもののように思えます。
今では、政府が発表するものを素直に受け取らない人がほとんどだろうと思います。
少なくとも各種報道の内容は、「政府が人民に伝えたいこと」だと認識されていて、必ずしも「人民が知りたいことではない」と認識している。
まぁその分、政府側も“老獪”にはなってきているのだろうとは想像されますが・・・。
「上に政策あれば、下に対策あり」
もともと中国の人は、お上の言うことを信じない風潮もあります。
「上に政策あれば、下に対策あり」というのは有名なフレーズで、上というのは政府、下というのは一般市民を表しています。
政策が出されれば、それに合わせて市民は対策をとる。
素直には従わず臨機応変に対処する、といったような意味です。
中国における“お上”というのは、自分たちに都合のよいことを人民に強要する権力機構として見られることが多いようです。
一般的に自分たちを守ってくれたり助けてくれる存在ではないのです。
逆に日本は、悪い言い方をすれば、お上の言うことならば何でも素直に聞くバカ正直なところがあります。
困ったことがあったらお上。
税金(年貢)さえ納めていれば悪いようにはされないし必要であれば守ってもくれる、と信じている。
統治者にとっては都合のよい話でもあります。
中国に比べれば、日本の統治コストはかなり低いように思えます。
中国では、そもそも政府というものをあまり信用していない土壌の上に、対外的なつながりが増えたことで政府に対する「疑いの目」がより強化されてきました。
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成熟した中国人視聴者、騙しやすい日本人視聴者
だから、若い人の多くは、流されている情報を鵜呑みにしない習慣が自然と培われているように思えます。
目の前に出された情報を疑ってかかるので、簡単には騙されないのです。
少なくとも今となっては日本よりも成熟した視聴者が多いのではないでしょうか。
一方、日本人はテレビやマスコミの言うことを鵜呑みにする傾向があります。
自由になんでも報道されている、ということをそのまま信じ込みーというかそれが習慣化されていてー、“疑う”という姿勢が弱いのです。
だから狡猾な人にとっては、とても騙しやすい視聴者・世論ということにもなります。
例外はあるので全体としての傾向という話ではありますが、今となっては中国人の視聴者のほうがその意味では“賢い”のかもしれません。
おまけ:政府の高齢者に対する政策の変化
上の写真は高齢者に対する政府の姿勢の変化を皮肉った画像です。
- 1985年:計画出産は良い、政府が高齢者の面倒を見ます
- 1995年:計画出産は良い、政府は高齢者の世話を手伝います
- 2005年:高齢者の世話は政府を頼ってはいけない
- 2012年:退職を遅らせるのは良い、自分で自分の面倒をみよう
- 2015年:高齢者扶養は義務である、政府に押し付けるのは恥である
80−90年代は、高齢者の面倒は政府がみますよ、と歌っています。
それが2000年代に入ると、高齢者は自立して自分たちでなんとかしなさい、という方向へと変わっていきます。
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