今回は、「いってらっしゃい」「いってきます」の中国語表現について紹介します。
中国語の「いってらっしゃい」表現は、その使える範囲が日本語の「いってらっしゃい」よりだいぶ広くなります。
日本語の「いってらっしゃい」よりも言う相手や使うシチュエーションに制限が少ないという意味です。
同じように、「いってきます」も厳密には日本語とまったく同じ表現はありません。
具体的にどういうことなんでしょうか?
目次
万能のキーフレーズはこれです!
慢走
màn zǒu
マンゾウ
「いってらっしゃい」を言いたくて迷ったときは、この一言で解決です。
嬉しいのは、目上の人にも「慢走 マンゾウ」だけ伝えても失礼にはならないこと。
ただ、より丁寧な言い方として、
请慢走
qǐng màn zǒu
チンマンゾウ
您慢走
nín màn zǒu
ニンマンゾウ
「请 チン」も「您 ニン」もどちらも丁寧さをあらわす表現です。
「您 ニン」は「你 ニィ」の敬称ですね。
ただ、より丁寧にしたいからといって「请您慢走」とは言わないので気をつけてください。
付き合う女性と同じ、必ずどちらかひとつを選んでくださいね。あとあと面倒ですから。
さて、その意味で「慢走 マンゾウ」が万能の「いってらっしゃい」表現になります。
今日は、これだけは覚えて帰ってください。
では、慢走!
・・・なんてページを閉じられると寂しいので、もう少しだけ読んでください(笑)
はい、では、もう少しかろやかに言いたいときは〜
慢走啊
マンゾウア
とも言ったりします。
「あ」が付いただけです、ええ。
でもこの「あ」がけっこう大事だったりします。
親しい友人や家族に言う場合に使いやすい表現ですし、お客さんに使っても大丈夫です。
「啊 あ」は日本語の「ね」みたいなニュアンスでしょうか。
丁寧さと親しみがこもります。
だから明るく言ってください。
ため息つくみたいに「マンゾウあぁ。。。」とか言っちゃだめです。
末尾につけることで表現全体に軽さというかやさしさのようなものが加わりますね。
ただ、上の3つのどの表現も「いってらっしゃい」とは微妙にずれがあります。
というのも、お客さんや知人にも同じように言えるからです。
日本では家に来たお客さんや知り合いに対して「いってらっしゃい」とは言わないですよね?
もし家に来たゲストに対して玄関で「いってらっしゃい」といえば、また帰ってくるの?みたいな意味が付いてきてしまいます(もしゲストが旅行に行く場合は下記をみてください)。
でも、中国語の上の表現は、お客さんにも知り合いにも、つまり一緒に住んでない人にも同じような表現を使うわけです。
と使えるわけです。
その意味では「いってらっしゃい」とまったく同じではありません。
「いってらっしゃい」よりももっと使える範囲が広い!
たとえば、お店で買物したり、レストランで食事をしたりしてお店を出るときには、店員が「请慢走 チンマンゾウ」と言ってきたりします。
これは「お気をつけてお帰りください、ありがとうございました」という意味で使っています。
お店としてはぜひ戻ってきてほしいから「いってらっしゃい」と言いたい!
でも、そういう表現が中国語にはないから仕方なく「请慢走」と言わされているわけです(ん?)
だから、厳密にいえば「いってらっしゃい」に相当する中国語はないということになります。
で、とにかく慢走は万能。
マンゾウはバンノウ。
もうこれでマンゾウは覚えましたね。
ちなみに、「慢走」のもともとの漢字の意味を直訳すれば「ゆっくり歩いてね」ということなのですが、「歩く」の意味はありません。
別れ際に伝えるフレーズとして定着しているため、もともとの意味は消えてしまったというわけです。
徒歩で帰る人だけにしか使えない?
そう思った方、するどいです。座布団3枚くらいあげちゃいます。
でも、車で帰る相手にも、泳いで帰る人魚にも、UFOに乗って帰る宇宙人にも使えるので安心して使ってください。
去る相手にはすべてマンゾウでイイゾーす(決まった)
小心点儿
xiǎo xīn diǎn ér
シャオシンディアール
路上小心
lù shàng xiǎo xīn
ルーシャンシャオシン
伝える相手がちょっと遠くに行くときとか、いつもと違う場所に行くときとか、そういうシチュエーションだとこんな表現をしたりもします。
これも一緒に住んでいる家族であっても、誰か知り合いやゲストが出かけるときでも同じように使えます。
「いってらっしゃい」というよりも「気をつけてね」のほうが意味的にはしっくりくる感じですかね。
出かけていく人を見送るときの挨拶ということで、よく使われる表現です。
それから、
一路平安
yī lù píng ān
イールーピンアン
一路顺风
yī lù shùn fēng
イールーシュンフォン
「道中お気をつけて」という意味になります。
少し気をつけたいのは、飛行機を乗る予定の相手に「一路顺风」はあまり使わないほうがよい、ということです。
「風」という字が含まれているので飛行機にとっては縁起の悪い印象があるからです。
同じ理由で船にのる人にも「一路顺风」は使いません。
まぁ船にのって出かけるシチュエーションってそう多くないとは思いますが。
そういう意味では「一路平安」のほうが無難な表現ですね。
もし「一路・・・えっと〜どっちがいいんだっけ・・・」となったら「慢走」に逃げてくださいね(笑)
でも、「一路慢走」とは言わないのでご注意を。
また、相手が車で出かけるときには、
开车小心
kāi chē xiǎo xīn
カイチューシャオシン
なんて表現もあります。
「車の運転、気をつけてね」という感じですね。
さて、「ご主人様、いってらっしゃいませ」、こんな風に言いたいときはどう言うか?
え、そんなシチュエーションない?
いやいや、あるでしょ、ねぇ?
您走好
nín zǒu hǎo
チンニンゾウハオ
「走好 ゾウハオ」というのが少し硬い表現の「慢走」になります。
そんなに頻繁に使われる表現ではありません。
「どうぞいってらっしゃいませ」というお硬い場で使ったりする表現になります。
それに相手に対する丁寧さをしめす「您 ニン」をつけたら
「ご主人様、いってらっしゃいませ」
に近いかなと思います。
请走好,祝您一路平安
なんて言ったら、ものすごく丁重にあつかわれてる感じが伝わります。
上がり框に両手を添えて、なんていうのは中国人がやったらおかしいですが、もし日本のホテルの女将あたりがお客さんが帰るときに、両膝ついて両手を添えてこう挨拶したら中国人観光客の方は「おぉ!」と感動するかもしれません。
「かもしれない」ですからね、保証はできません。
それから下で紹介する「いってきます」に対する返事として使う表現として、
哦
o
お
噢
ō
おぅ
こんな受け答えもあったりします。
空白が多いですけど、打ち忘れとかじゃありませんよ。一文字なだけです。
「お」とか「おぅ」とか、そんなやる気も思いやりも感じられない返事、いったいどこの熟年夫婦だっ!
とツッコミを入れたくなりますが、べつに若いカップルでも使う珍しくもない受け答えです。
まろやかに訳せば「はーい」みたいな感じでしょうか。
もうすでに「いってらっしゃい」の訳ではないわけですが、「いってきます」に対する返事として使えるという意味で紹介してみました。
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ここまでお疲れさまです!
やっと「いってきます」までたどり着きました。
「いってきます」のほうはそれほど長くないのでご安心を。よりシンプルです。
さて、「いってきます」でも万能フレーズを紹介しておきましょう。
我走了
wǒ zǒu le
ウォーゾウラ
末尾は必ず「了 ラ」です。
「我走啊」とは言いません。我走了です。
「ラ」は完了をあらわす意味があり、直訳しちゃうと「私はいきました」になります。
ただ、「いってきます」の場合には必ず「ラ」が付きます。
これは「いってきます=我走了」の超重大ポイント。
「我走」とかも言いません。
必ず「ラ」がつくので覚えてくださいね。
中国語をちょっと習った人には違和感があると思います。
だって「ラ」は完了でしょ、それ基本でしょ?
「いってきます」って言いたいのに「いってきました」はないでしょ〜
と思われた方、まさにおっしゃる通りでございます。1ミリも間違っていません。
それでも、我走了なんです。
実をいうと私もよく「我走啊」と間違えて言ってました・・・こそこそ
難しい文法的なことはここでは解説しません!(できません)
言い回しなんで、繰り返し言って慣れればなんのことはありません。
日本にいてもぜんぶ「我走了」と言いつづける!
そうして1か月くらいたったころには、もう1ミクロンも疑問に思わなくなっているはずです。
これから1か月は「いってきます」禁止です。もうぜんぶ我走了。
ただ、この表現は近い人や親しくない人以外では使わない表現です。
つまり、お店やホテルでは使いません。
「いってきます」をお店やホテルで使いませんよね?(え、使う?)
それと同じです。
「我走了」と同じような表現として
我出发了
wǒ chū fā le
ウォーチューファーラ
我出门了
wǒ chū mén le
ウォーチューメンラ
我出去了
wǒ chū qù le
ウォーチューチーラ
なんかがあります。全部ほぼ同じ意味です。
これらは我走了よりそれぞれ1文字ずつ多いので、ウブで未熟な初心者のみなさんには難しすぎます。
だから覚えなくて大丈夫ですよ。
我走了で十分です。
もっと具体的に、
我去上班了
wǒ qù shàngbān le
我去上学了
wǒ qù shàngxué le
我去上课了
wǒ qù shàng kè le
我去玩儿了
wǒ qù wánr le
なんていうこともあります。
ここまでくると上級者編ですかね。
あれ、初級者のみなさん、寝ちゃってます?
起きてくださーい
それぞれ
という感じです。
語尾にとくに深い意味はありませんえんなりよー
妈妈、再见!
ママ、ザイジェン
爸爸、拜拜!
ババ、バイバイ
子どもを小学校や塾に送りとどけたときに、子どもが言うセリフです。
そうなんです、中国では親が必ず子どもを送り届けます。
学校によっては規則として決めているところもあるくらいです。
(ここでは中国語の紹介なので、詳しい事情は下記の記事にゆずります)
日本だったらこういう場面で「いってきます」と言うかなと思い、いちおう紹介しておきます。
「さよなら」や「バイバイ」は、また会うことを想定しているときに使うことが多いようです。
「再」び「見」るですからね、ここは漢字のもともとの意味がしっかり残っているともいえます。
さぁ、いよいよフィナーレです。
「いってらっしゃい」と「いってきます」のそれぞれの万能フレーズ、覚えましたか?
「慢走」と「我走了」です。
これだけ言えれば、あとは応用編なので(?)中国語のレベルがあがるごとに徐々にマスターしていけばよいと思います。
なお、挨拶全般については「中国語の挨拶の総まとめ」にまとめたのでぜひご覧ください。
その他中国語に関する各種まとめ記事もあわせてご覧ください。
それでは今回はこの辺で。
再见~!