中国語の「了(le)」の意味と使い方は、とてもとても難しいです。
頻出単語なのに難しいから中国語学習者にとっては厄介者なのが「了」
ただ、次の文章を読んでみてください。中国語教育の第一人者・相原茂先生の本からです。
(了は)常用語なのに(あるいは常用語であるゆえ)、もうひとつ、その用法がわからぬからです。負け惜しみでなく、これを解明したら博士号ものです。相原茂(1990)『はじめての中国語』
p.193.
相原先生をして「その用法がわからぬ」と言わせる「了」
ちなみに相原先生というのは、中国語教育では一番有名といってもいい大御所です。
だから普通に勉強している人が分からないのは当然でございます、はい。
下記ではどこよりも分かりやすく説明したつもりですが、どうもしっくり来ないところがあっても当然のことと思って安心してください(笑)
まず最初に「了」の2つの用法を説明します。
その後に、「では、どんなときには了を付けないのか?」という点からその意味と使い方を見ていきましょう!
目次
「了」には大きく2つの意味・用法があるとされています。
1つ目は、「動作が完了・実現した」ことを意味する「了」です。
2つ目の使い方と区別するために、「了1」と表記・説明されたりもします。
(もう1つは、「変化が起きたこと」を意味する「了」→こちらは後で説明)
「動作が完了・実現した」という意味なので過去のことだけのように感じられますが、現在や未来のことについても使われます。
ただ、とりあえずの翻訳としては「〜した」の「了」くらいに思っておいてよいと思います。
厳密には過去形ではないのだけど、過去形みたいに使えて、現在や未来のことにも使えるくらいにゆるく頭に入れておいてください。
wǒ chī le sān gè miàn bāo
我吃了三个面包
ウォーチーラサンガミエンバオ
私は3個パンを食べた
wǒ mǎi le hěn duō yī fú
我买了很多衣服
ウォーマイラヘンドゥオイーフ
私はたくさん服を買った
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「了1」の使い方で、ぜひ覚えておきたいポイントを2つ説明しましょう!
そのまんまの意味になりますが、これだけだと少し分かりづらいですね。
簡単にいえば、動詞のあとに続く単語が長い場合には、「了」を動詞の直後に置くという意味です。
例文で説明しましょう!
wǒ nǚ péng yǒu hē le sān píng bái jiǔ
我女朋友喝了三瓶白酒
私の彼女は3本の白酒を飲んだ。
「3本の白酒」という青字の部分=目的語が2語以上なので、「了」は動詞の直後におきます。最後に「了」は付けません。
wǒ nǚ péng yǒu hē bái jiǔ le
我女朋友喝白酒了
私の彼女は白酒を飲んだ。
一方でこちらの例文は、「吃」のあとに続く「白酒」という単語が1単語なので、「了」は文末についています。
ちなみに例文内の白酒というのは、中国独特のアルコール度数50度前後のお酒です。
詳しくはこちらをご覧ください→中国の恐怖のお酒・白酒(ばいちゅう)とは?
「了1」の使い方のもう1つのルールは、もし「没有」で否定されると「了」はなくなるということです。
wǒ nǚ péng yǒu méi yǒu chī dōng xī
我女朋友没有吃东西
私の彼女は何も食べなかった。
「没有」でもう過去のことを示しているので(=動作の完了を意味しているので)、「了」を付ける必要はなくなり付けません。また、「没有」は省略して「没」だけでも使えます。
「了」の2つ目の使い方・用法を説明しましょう。
1つ目の使い方だけでルールがたくさんあり、もうおなかいっぱいだろうとは思いますが・・・
2つ目は、「変化・新たな状況が生じた」ことを表す「了」です。
文末につけて使います。この「了」のことを「語気助詞の了」ともいいます。
このゴキ女子、いや、語気助詞の「了」もきわめてややこしいです。
ひとまずは文末につけて変化や強調などをあらわす「了」と思っておけばよいと思います。
こちらは1つ目の「了」と区別して、「了2」と表記・説明されたりもします。
例文を見てみましょう!
tā shì bà ba le
他是爸爸了
彼はパパになりました(子どもが生まれました)
この例は変化をあらわす「了」の用法として一番分かりやすいかもしれません。
パパという身分、地位になった=変化したということを意味する「了」です。
tā sān shí suì le
他三十岁了
彼は30歳になった。
30歳という年に「なった、変化した」ということで文末に「了」がつきます。
wǒ zǒu le
我走了
いってきます、いってくるよ
「ここにいる」という状態、状況から変化して、外に出ていくことになるので「了」を付けている、と説明できるでしょう。
このフレーズは日常でよく使うのでそのまま覚えておいていいと思いますが、文法的に説明するとそうなるという話です。
tài hǎo le
太好了
すばらしい
この「了」は程度の強調をあらわす「了」と説明されます。
ただこれも決まったフレーズなのでそのまま覚えましょう。
「太〜了」で、「すごく〜だ」という意味になります。「太可爱了=すごく可愛い」、「太困了=眠すぎる」などなどいろんな表現で幅広く使えます。
fàng jià le
放假了
休みだ(休みが始まった)
ここの「了」は「休みが始まった」という状況の変化をあらわしています。
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ここまでで「了」の2つの意味と用法についてざっと説明しました。
次に、ではどんなときに「了」を付けないのか、ということを解説しましょう!
付けないときが分かれば、いつ付けるかが分かる、というわけでもないですが理解の助けにはなるはずです。
習慣的なことや、継続的なことを表している場合には「了」は付けません。
「了」と一緒には使えない単語表現をあげておきましょう!
なにかが継続していたり、繰り返しやっているという意味が含まれる場合には、「了」は使えないということです。
もともと「動作が完了したときの了」でも「変化が起きたときの了」でも、どちらにしても物事がそこで一度途切れるというニュアンスが「了」にはあります。まさに、完了!
だからこそ、継続したり断続的にでも続いていることに関してはそれが過去のことであっても「了」は使えないということなのでしょう。
shàng dà xué de/dí/dì shí hòu měi tiān hē jiǔ
上大学的时候每天喝酒
大学のときは毎日お酒を飲んでいた。
「話す」「言う」などの動詞のあとには、たとえ「過去に〜と言った」という場合でも「了」は付けません。
中国語の動詞としては「说」「讲」「告诉」などです。
nǚ péng yǒu gāng cái gēn wǒ jiǎng xià gè xīng qī bú/bù xiǎng jiàn wǒ
女朋友刚才跟我讲,下个星期不想见我
彼女はさっき私に「来週はあなたに会いたくない」と言った。
なお、ここの項目は下記の本を参考にしました。また、相原先生です。
「了」の用法は大きく2つということでまとめました。
これは実際に多くのテキストで使われてもいる説明なのですが、2つの用法の境目はすご〜く曖昧です。
正直なところ、使われているほとんどの例文はどっちの用法としてでも説明がつくんじゃないかと思えます(笑)
冒頭でも紹介しましたが、相原先生でさえ「その用法がわからぬ」のですから、はっきりしないままで仕方ないと思ってあまり深く悩まないようにするのがよいと思います。
「了」の用法についてより深く知りたい人は『Why?にこたえるはじめての中国語の文法書
なお、中国語の勉強法については「おすすめの勉強法と参考書・アプリのまとめ」に詳しく書いたのであわせて参考にしてください。
中国語の文法事項ついては「中国語文法ーその特徴と各項目を総まとめ」にどこよりも分かりやすくまとめているのであわせてご覧ください。
それでは今回はこの辺で。
再见~!
ここで紹介した本たち