「行く」という中国語には「去」と「上」の2種類があります。
「去 qù」が一般的にはよく使われますが、「上」も日常会話では使用頻度が高い語句です。
このページでは最初にその2つの「行く」の違いを説明します。
その後、日本人にとっては難しい「去 qù」というピンインの発音のコツやポイントについても徹底的に解説します。
最後は、行くは行くでも「いま行くよ」という場合には「来 lái」を使うなど、「行く」に関する例文を豊富に紹介します。
「行く」というのは文章でも日常会話でも使用頻度がかなり高い語句なので、ぜひしっかりマスターしたいところ。
このページを読めば「行く」に関する中国語の表現・発音については完璧になりますよ!
目次
nǐ qù nǎ lǐ
你去哪里?
ニーチーナーリ
どこに行くのですか?
nǐ shàng nǎ lǐ
你上哪里?
ニーシャンナーリ
どこに行くのですか?
どちらの例文も「行く」という意味で、同じ表現になります。
「行く」=「去 qù」というのが中国語学習で最初に習う翻訳で、それはもちろん正しいのですが、「上 shàng」も日常会話では使用頻度が高い語句です。
ただし、使い方・フレーズによってはどちらか一方しか使えないときがあるので、そうした違いについて説明していきましょう!
「去」と「上」の大きな違いは、目的語を必要とするかどうかという点です。目的語というのは、動詞の後についてくる単語のことで、動詞の動作対象をあらわす単語のこと。
「上」は必ず目的語を必要としますが、「去」は目的語がなくても使うことができます。
例文を見てみましょう!
wǒ shàng xǐ shǒu jiān
我上洗手间
ウォーシャンシーショウジエン
トイレに行きます
この例文では「洗手间(トイレ)」が目的語で、これがないと文章として成り立ちません。
つまり、「上」を使う場合には「どこに」行くのかを明確に表現する必要があるということです。
nǐ qù xǐ shǒu jiān ma
你去洗手间吗?
ニーチーシーショウジエンマ
トイレに行きますか?
wǒ qù / wǒ bú qù
我去 / 我不去
ウォーチー / ウォープチー
行きます / 行きません
こちらの例文の場合では「去」を使っていますが、目的語がありません。
「〜しに行く」というように動詞が続いて表現する場合には、「去」しか使えず、「上」は使えません。
ひとつの単語として扱われて使われている表現では、目的語(的な言葉)が付いていても、「去」は使えません。
なお、この項目は下記の本を参考にしました。著者である相原先生はPodcastで中国語にかんする楽しくてタメになる話をたくさんされていて、それをまとめたのがこの本で超おすすめです!相原先生は中国語教育の第一人者。
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「qù」の発音は日本人にとって難しい発音のひとつとされています。難しいとされる理由は主に2つです。
つまり、「チー」とカタカナ読みしたときにそれに該当する中国語の発音が、「qu, chi, qi」の3つもあるわけです。
下記では、「去 qù」の発音を子音・母音・四声の要素に分解して説明していきます。
ひとつひとつ段階をおってマスターすれば発音できるようになるので安心してください。
解説の前にまずは「qù」の正しい発音を聞いてみてください。
子音の「q」は、日本語の「チ」と同じだと思ってもらって大丈夫です。
発音の分類的には「有気音」と呼ばれる子音になります。
有気音とは、口のなかで息を軽くとめてそれをぱっと一気に吐き出すイメージですが、「q」の場合にはあまり強く意識する必要はありません。というのも日本語の「チ」とほぼ同じだからです。
子音「q」に、母音の「ü」を付けると「qu」の発音になります。
この「ü」の発音が日本人には難しいとされています。同じ発音が存在しないからです。
口のかたちは「イ」にして、「ウ」を発音するイメージです。
このときの「イ」は歯磨きするときにやるような「いーっ!」ではなく、もう少し上品な感じで、フルートなどの横笛を吹くイメージで口のかたちをつくります。
そのかたちのまま「ウ」を発音すると「ü」の発音になります。唇が少し震える感じがしたら正解だと思ってください。そのくらい上下の唇が近いわけです。
「qu」の発音がマスターできたら、それを第4声で発音します。
四声の説明のページでも書きましたが、声を出したら力を抜いて一気に音を下げるイメージです。
力を抜くことを意識するのがコツです。
第4声に似た声の調子(トーン)の日本語イメージ例をリストアップしておきます。
最後にもう一度、「去 qù」の正しい発音を聞いて練習しましょう!
「qu」「chi」「qi」の3つともカタカナ読みをすれば「チー」になります。
それぞれの発音の特徴を言葉で説明できる範囲で紹介しておきましょう!
qi:日本語の「チー」とほとんど同じです。あえて違いをいえば日本語よりももう少し鋭い「チ」が「qi」です。
chi:そり舌音と呼ばれる、これも日本人にとっては難しい発音のひとつです。
「そり舌」とは言われますが、実際にそったり巻いたりするわけではなく、歯茎の裏あたりに舌先を添え当てて発音します。
舌先で上の前歯の歯茎を上奥に向かって探っていくと、出っ張っている部分があると思います。その出っ張り部分に舌先を当てながら「チ」と発音します。
口の開き方は「イ」と「ウ」の間くらいでぼんやりとあける程度です。
実際に発音すると、出っ張りと舌先の間から空気が漏れるのが感じられるはずです。それが「chi」の発音です。
上の「qi」に比べると、かなりこもった音になるはずです。
紛らわしいピンインの発音・聞き取りの練習ができるアプリを紹介しておきましょう。
シンプルで一見ちゃっちい作りに見えますが(失礼)かなり有用で発音・ピンインの勉強になるアプリです。
たとえば
を当てるといった感じで、10問で1タームとなっています。
もちろんアプリの中に「chi」「qu」「qi」も出てくるのでこれで練習してみてもいいですね。
wǒ gēn nǐ yī qǐ qù chī fàn
我跟你一起去吃饭
ウォーゲンニーイーチーチーチーファン
あなたと一緒にご飯を食べに行きます
とても基本的な文章ですが、「qi」「qu」「chi」の3つが連続して使われていて日本人にとってはひじょ〜に発音しづらい文章です(笑)
この一文がきれいに言えるようになったら、発音をマスターしたといってもよいと思います。
正しい発音を聞いてみてください。どれも一緒に聞こえますか?(笑)
さて、「行く」=「去 qù」を使った例文をたくさん見ていきましょう!
wǒ gēn dà jiā yī qǐ qù
我跟大家一起去
ウォーゲンダージアイーチーチー
みんなと一緒にいきます
「跟〜一起」で「誰々と一緒に」という表現になります。
wǒ xiǎng qù xǐ shǒu jiān
我想去洗手间
ウォーシャンチー
トイレに行きたいです
「〜したい」という表現になる「想」をつければ、「〜に行きたい」という表現になります。
また、この例文は「我想上洗手间 wǒ xiǎng shàng xǐ shǒu jiān」と言い換えることもできます。
wǒ xiǎng qù mǎi dōng xī
我想去买东西
ウォーシャンチーマイドンシ
ショッピングに行きたいです
「去」のあとに動詞を直接続けて、「〜しに行く」という表現にすることもできます。
例文は「买东西=ものを買う」という動詞句がつながっています。
wǒ xiǎng qù jiǔ ba hē pí jiǔ
我想去酒吧喝啤酒
ウォーシャンチージウバフーピージウ
バーにビールを飲みに行きたいです
「去」のあとに「どこに」行くのかをつなげて、さらにそこに動詞句をつなげて文章をつくったのがこの例文です。
ほかにも簡単な例をあげておきましょう!
wǒ lái le
我来了
ウォーライラ
いま行きます
英語でいえば「I’m coming」といった感じでしょうか。
たとえば「ご飯できたよ〜!」とキッチンから声がかかって、少し離れたところから「いま行くよ!」と答える場合「我来了」が使われます。
日本語でいえば「いま行くよ」といったニュアンスです。
中国語的なのは、食卓に着いて座った瞬間であっても「我来了」と言えることです。この場合は「来たよ」という日本語になるでしょうか。
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どの表現も直訳すれば「私は行きます」となり、どこかに出かけていくときに伝える挨拶の表現です。
その他「いってきます」に関する詳しい表現については、「「いってきます」の表現を徹底解説」の記事にまとめているのでご覧ください。
「行く」という中国語の「去」と「上」の2種類について説明してきました。
さらに、日本人にとっては難しい「去 qù」の発音をその要素に分解して徹底的に解説しました。
紹介したアプリも使いながら、発音・聞き取りともにマスターできるようになりましょう!
それでは今回はこの辺で。
再见~!