柚子の季節になりました。
日本語の「柚子」は、主に風味付けや柚子湯に使われ、そのもの自体を食べるイメージはありませんが、中国語の「柚子(yòu zi)」はそれとは味もサイズもまったく違う柑橘類の果物を意味します。その柚子が、私のいる浙江省では10月中旬頃から店頭に並び始めます。
あえて近いものを言えばグレープフルーツですが、グレープフルーツよりも果肉の粒が大きくて水々しくプリプリ。しかも酸味や苦味がほぼなくてとても甘いんです。
(ネットで調べたら文旦(ぶんたん)やザボンと言われるものとほぼ同じ品種のようです)
ハズレで酸っぱいということもなく安定して甘いので、個人的にはかなり好きな果物です。もっともこの「甘さ」はどうも近年の品種改良によるもののようで、中国人の妻の幼い頃の記憶ではもっと苦くて酸っぱいものだったとか。
他の柑橘類はものによっては水分が滲み出たりしますが、中国の柚子は一粒一粒がしっかりしているので手も汚れにくいことも好きな理由のひとつ。
グレープフルーツと同じで、色味は白めのものと赤めのものがあります。
サイズは大人の男性がぎりぎり片手で持てるくらい。ソフトボールより2まわりくらい大きい感じでしょうか。
大きい分、皮は分厚くスポンジのようなので、最初に剥くときは包丁で一筋入れる必要があります。ただ、あとは力づくで剥いて食べきることができます。
ボリュームがあるので食べ応えもたっぷりです。もし食べ残しても保存がきくので安心。常温で1週間くらいは余裕です。
発音は「yòu zi」で、あえてカタカナにすれば「ヨウズ」。ユズと似ているといえば似ています。
発音まで似ているのに、どこからどうしてここまで違うものを同じ漢字で意味するようになったのか?
同じ漢字でも日本語と中国語で意味が違う例として「手紙」があります。中国語で「手紙」は「トイレットペーパー」を意味し、中国語初学者にとっては有名な小話。
ただ有名な割には、なぜそうなのかの説明を見たことはありません。日常単語の由来や履歴をたどるのはきっと難しいことなのでしょう。
柚子もその例に漏れず名前の由来などは分かりませんが、中国の柚子はそれ自体を食べることができ、なおかつ美味しいので、日本でもポピュラーになってよいのになと思います。はて、その時にはどんな名前で販売されるんでしょうか…?