こんにちは!kammyです。
本のタイトルの疑問を最初に種明かししてしまえば、このブログでも以前紹介したように、スマホ決済が急速に普及して財布を持たなくても生活に困らなくなったから、となります。
その背景や普及具合をレポ的な内容や筆者の豊富な経験・知識をうまく折り混ぜながら解説している良本です。
個人的に特に面白かったのは1章-3章。
ここ数年で急速に発展し、日本よりも進んでいるスマホ関連のビジネスを中心に紹介していて読み応えがありました。
スマホやスマホ決済、それに伴う各種の新サービスがなぜ中国社会で急速に浸透してきたのかを、歴史的な背景やインタビューによる中国人の生の声などを用いて説明しています。
私もここ最近の中国でのスマホ関連サービスの普及と便利さを体験し、筆者と同じように帰国時には「中国すごい」と触れ回っていた口です。
その熱気のようなものに共感できるので余計に興味深かったということもあります。
また、情報統制について述べた3章の指摘は秀逸だなと思いました。
中国人は普段目にする情報がすでにコントロールされていることを知っており、疑いの目で情報に接している。
反対に日本人は報道やメディアに対して疑いの目で持つことがほとんどないからかえってメディアの言説に振り回される面がある、という指摘は見事だと思いました。
筆者は定期的に中国を訪れ観察、取材を続けているのでしょう。
中国と中国人に真摯に向き合う姿が印象に残り、できるだけ客観的、中立的に中国を描写しようという筆者の気遣いが随所に感じられました。
巷に行き交う反中的なプロパガンダ本とは一線を画す良本だと思います。
また、8章では日本人が持つ中国人に対するネガティブなイメージはステレオタイプのものであり、それは行き過ぎな面があることを強調し、素直な気持ちで向き合う必要性を改めて説いています。
次の箇所は、筆者がこうした本を書くことで最終的に目指している、社会に向けて一番伝えたいところなのでしょう。共感しました。
「彼らが生きている社会の背景をよく知れば、私たちが抱いている図式的な中国人像についても、文化・社会環境が彼らをそうさせている(そうせざるを得ない)面があることがわかる。一皮むけば人間はみんな同じ、同じように喜び、同じように悲しみ、もがきながら必死で生きているということも理解できる。それがわかれば、もっと素直に付き合えるし、もう少し寄り添え合える。少しでもいい関係になれるのではないかと思う。」
中国に行く前日にひょんなことから知ったこの本。
アマゾンだと出発に間に合わないのが怖かったので買わなかったのですが、空港の本屋にたまたま並べられていて購入。
興味深かったので飛行機の中で読みきってしまいました。
上記以外にも、最近の婚活事情やビジネス経営者の動向、富裕層の消費行動の変化などの紹介もあり、最近の中国をバランスよく、少し深く知りたい方には特におすすめの本です。