「不」も「没」も、どちらも否定をあらわす語句として、初期の段階で習うものです。
ただ、いつ「不」を使って、いつ「没」を使うのかはなかなか難しい問題で、普通の参考書には詳しい解説が書かれていることはありません。
ここではいろんな例文を見ながら、その疑問に答えます。
これを読めばもうどちらを使うか悩みません!
目次
「不」は「ない」という状態がずっと続くようなときに使うことが多いです。
それとは対照的に、「没」はその瞬間だけ「ない」ような表現として使われます。
例文を見て違いを比べてみましょう!
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nǐ zài jiā má
你在家吗?
ニーザイジアマ
あなたは家にいますか?
bú zài jiā 不在家 プーザイジア (しばらく)いません |
méi zài jiā 没在家 メイザイジア (今、ちょっと)いません |
「不在家」のほうは、(しばらく)いないというような意味で、旅行に行っているとか、出張に行っているとかで長期間いないニュアンスを伝えることができます。
一方で、「没在家」のほうは、今ちょっと出ていていない、もうすぐ戻るけど今この瞬間はいない、というようなニュアンスになります。
もうひとつ面白い例を見てみましょう!
nǐ jié hūn le má
你结婚了吗?
ニージエフンラマ
結婚していますか?
bù jié hūn 不结婚 プージエフン (今後も)結婚しません |
méijié hūn 没结婚 メイジエフン (今は)結婚していません |
不结婚のほうは、「ずっと結婚しない、今後も結婚しない」という意味合いになります。
一方で、没结婚は、「(まだ)結婚していない、(今は)結婚していない」というニュアンスで、これから結婚する可能性があること、結婚する意思があることが含まれた表現になります。
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tā bù lái 他不来 タープライ 彼は来ない |
tā méi yǒu lái 他没有来 ターメイヨウライ 彼は来なかった、彼は来ていない |
上の簡単な例文でも、けっこう大きな違いが見えます。
「他不来」は来ないという事実は決定的で、永続的なニュアンスがあります。
それに対して「他没有来」は「(まだ)来ていない」もしくは「彼は(その時は)来なかった」という意味合いになりますから、単発的なイメージを含んだ表現になります。
「不懂」と「没懂」は両方とも「分かりません」という意味ですが、これも含むニュアンスが違ってきます。
「不懂」はずっと分からない、これからも(しばらくは)分からない、という長期的なニュアンスを含んでいます。
一方で、「没懂」は「(いろんな理由で)今は分からなかった」、「分かるはずだけど分からなかった」というイメージがあります。
nǐ shuō de tài kuài wǒ méi dǒng
你说的太快,我没懂
ニーシュオダタイクアイ。ウォーメイドン
話すのが早すぎて、分かりません(でした)
上の表現では、「ゆっくり話してくれれば分かる」というニュアンスが含まれています。
ここを「不懂」にすると、「そもそも中国語が分からない、話せない」という意味合いがこもってしまいます。
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「不」というのが、永続的・長期的な「ない」を表すのが分かってきたかと思います。
その延長として、「他不在了」という表現があります。
tā bú zài le
他不在了
タープザイラ
彼は亡くなった
彼はずっといない=彼はなくなった、という意味です。
文末の「了」は完了・実現をあらわすアスペクトの「了」と言われるものです。
「他不在=彼がいない」という事実が完了した=彼はもうずっといなくなった=彼は亡くなった、ということになります。
「他死了」という表現も文法的には正しいですが、日常ではあまり使わず「他不在了」が使われます。
もう一度、不と没の基本的な違いをみておきましょう!
これでほとんどの場合は説明がつくと思います。
「不」と「没」の使い方や翻訳の仕方に迷ったら、この原則に戻ってくることで解決しますよ。
それでは今回はこの辺で。
再见~!