こんにちは!kammyです。
この本はとても面白い!
いまの中国経済を知る上で重要なことが、中国バブルというワードをもとに、非常に分かりやすくまとめられています。
その一部を紹介します。今日はちょっと真面目な経済の話。
中国の不動産価格はここ10年以上あがり続けてきたし、今も上がり続けています。
そもそも中国の不動産価格はどれほど高いのか?というのはここでも少し取り上げたことがあります。
極め付けのデータというものはないようで、本書の中では4つの指標を説明しています。
そのどれをとっても上昇しており、すでに「非常に高額だ」と結論しています。
(4つの指標とは、価格上昇のスピード、賃料利回り、住宅の価格帯所得比率、地下の総額)
肌感として分かりやすいのは、所得に対してどのくらい高いのか、という点でしょうか。
とても噛み砕いて言えば、年収の何倍で家が買えるかという指標があります。
たとえばアメリカであればおおまかな経験則としては3倍前後。
年収500万円であれば、1500万円くらいで買えるわけです。
他の先進諸国ではその数値が5〜6とのこと。
年収500万円なら2500万円から3000万円で家が買える。
日本の家の価格も、平均したらこのくらいに落ちつきそうな感じ=肌感と合います。
ところが、これがトップの北京だと約19。
つまり、年収500万円であれば、住宅の価格が1億円近くになるということです。
平均的な所得世帯が億ションを買っているわけです。もう異常なほど高い。
スポンサーリンク
ではなぜこれほど高くなったのか?
中国人は住宅を消費財というよりも投資対象としてみなしてきたから、というのが大きな要因です。
「住む」ためよりも「儲ける」ためです。
さらに、住宅価格が値上がり続けるという「期待」を皆がもっているから、ということが投資欲に火をつけ続けています。
住宅への需要というのは大きく2つ。
ひとつは住む家として。もうひとつは投資対象として。
いろいろなデータや調査からみると、住む家としての住宅への需要はもうそれほど多くないようです。
すでに中国家計の9割近くが持ち家を保有しているという調査もあります。
投資対象として不動産が購入され、そのせいで価格が高騰しているのであれば政府も抑制策を出します。
実際、政府は過去数度にわたって(2005年、2007年、2012年)大規模な価格抑制策を実施してきました。
しかし、それらの価格抑制策は十分な効力が発揮される前に反故にしてきた経緯がある。
なぜ本気で価格抑制に取り組まなかったのか?
それは経済成長を重要視してきたから、といいます。
不動産価格を抑制し、不動産市場が低迷すると、経済全体の成長スピードも低迷する、現在の中国経済はそういう構造にあります。
政府が抑制策を出しても、本気では不動産価格を抑えるつもりがなさそうだ・・・その経験が、住宅価格が値上がり続けるという投資家の「期待」に油を注いでいるのです。
スポンサーリンク
不動産業は、ここ10年の中国経済の成長を支えてきた支柱産業です。
2000年代中盤くらいまでは、輸出産業が成長の源泉でした。
「世界の工場」と言われた時代です。
それが今は不動産業(国内投資)にシフトしています。
さて、これほど高騰しているにも関わらず、なぜまだ中国バブルは弾けないのか?というのが本書のメインの謎解きです。
それに細かく答えるには、中国経済全体の流れ、不動産業、地方政府などの構造を全体的に理解する必要があります。
ただ簡潔にいえば、本書の英語タイトルである「Guranteed bubble 政府に保障されたバブル」が表しているように、政府がバックについているから中国バブルは弾けないで済んでいます。
この構造が変わらないかぎり、バブルは潰れず大きくなり続ける。
政府に潤沢な資金がある限り(現段階では十分な余裕がある)バブルは止まらないという結論になるのですが、本書はそのメカニズムについて詳細に説明してくれています。
そのせいで370ページを超える厚手の本になってます(笑)
このあたりの話もとても中国的で面白く、興味のあるかたは本書をどうぞ。