「1点点」というミルクティーのお店があります。
昨年後半に、上海の街を歩いていて、行列を見かけるといつもこのお店で、何だろう?と関心を持ったのがきっかけでした。
全国に加盟店があって、浙江省義烏市内にも数店あります。
義烏のお店にもだいたい行列ができています。
なぜそんなに流行っているのか?疑問に思って、上海のお店も含めて何度か飲んでみました。
甘さや冷たさを各5段階から選べる、接客態度が割とよい、新メニューが豊富・・・など、人気の理由になりそうなものをいくつか考えてみたのですが、どれもピンときません。
価格も平均的です。
肝心の味ですが、これといった目玉メニューがあるわけでもなく、私が飲んだミルクティーについてもごく普通の味でした。逆に1度はおいしくないと感じるほどでした。
ちなみにウーロンミルクティー(乌龙奶茶)はおいしいので、おすすめです(笑)
当時、ネットでざっと検索もかけてみたのですが、これといった説明は見当たりませんでした。
つまり、行列ができるほど人気が出る決定的な要因が見当たらないのです。
さて、その謎が先日、義理の兄と話しているときに、はっきりと分かりました。
なんと行列はサクラだというのです。
1人1日あたり100元くらい出せば、簡単に手配できるといいます。
1日に何回並ぶか、どの時間帯に並ぶか、何日並ぶのかといった細かいことはいくらでも調整可能です。
時間帯をピーク時だけなどにすれば、50元(約750円)くらいでも十分だといいます。
さらに“中国的”なのは、そうしたサクラを手配する仲介会社も存在するということです。
1人あたり5元とか10元の手数料で、さまざまな要望にあわせたサクラを手配してくれるそうです。
どのくらいの割合がサクラなのかは、状況によるでしょう。
見た目では区別がつきませんし、サクラではないお客さんは1日に何度も来るわけではないので、サクラの存在に気付く余地もありません。
さらに、並んでいる人に「サクラですか?」と聞いても答えてくれるわけでもありません(笑)
店舗の経営方針としてサクラを使って人気があるように見せ、お客さんを引き寄せるという手法を使っているのです。
義理の兄が直接問い合わせて確認したことがあるらしいので、情報としては合っていると思います。
合法的かどうかはまったく分かりませんが、違法であっても中国では大きな問題にはならないでしょう。そもそも確認のしようもないですし(笑)
ミルクティーを中心とする飲み物を販売するお店は飽和状態で、目新しいものがない限り、大きくヒットすることはありません。
先日ここでも紹介した「占いミルクティー」は、商品の目新しさとSNSを使った拡散で、加盟店を一気に増やしました。
関連ブログ記事:ティック・トックと占いミルクティー
この1点点については、行列を意図的につくることによって人気を生み出すという、思いつきそうで思いつかない手法で大きくなってきたようです。
行列ができていれば買ってみたくなるのが人間の心理。私もそのサクラに引き寄せられて、何度も通った口です(笑)