こんにちは!kammyです。
春節での集まりのときのこと。
中国では挨拶代わりにタバコを渡す習慣が、まだ残滓のように残っていたりします。
特に50代前後のおじさんは、口での挨拶と同じタイミングでタバコをやりとりすることが多いです。
要らない場合にはもちろん「吸わない」と言って断ることができ、私も吸わないので基本的には断っています。
それでもときどき「とにかく吸いなさい!」と言わんばかりに、ややごり押し気味にすすめてくる人もいたりします。
タバコのやりとりで興味深いのは、タバコを投げて渡す人がいることです。
受け取らない人に、なかば無理やり受け取らせるために投げられることもあるし、単純に席が離れていて不便だからという理由で投げられることもあります。
自分が投げられたのと、他人のを見かけたのでこの春節期間中3-4回は「投げタバコ」を目撃しました。
たとえば、ある人が円卓で3つくらい隣の人にタバコをすすめている。
お互いががんばって手を伸ばせば届く距離。
でも、すすめられた側はもう吸いたくないのか、遠慮しているのか、要らないを繰り返し、手はひっこめているので、すすめている方も渡せません。
3回くらい要らないと言われた後で、すすめている方は手元のタバコをひょいっと相手の前に投げるのです。
私も投げられたことがあって、当初は戸惑いました。
拾い上げて相手に返しにいくのも変だし、まさか投げ返すわけにもいかないし、という感じです。
おそらく投げ返しても問題ないんだろうと思いますが、長年培った日本人の反射神経がそれを許しません(笑)
同等の立場の人や、年下に向かっては遠慮なく投げる。
おそらく目上の人にはさすがに失礼なのか、投げないような感じもします。
でも、もしかしたら人によっては投げるかもしれません。
いずれにしろ、投げる方も投げられる方も、それほど失礼という意識はないようなのです。
投げる方が特に酔っぱらっているということもありません。
これって日本ではありえないような気がして、私的にはけっこうツボでした。
日本人であれば、たとえ年下であっても、あげるものを「投げる」というのはあまり無いように思います。
それがどんなものであれ、失礼な印象を与えるからでしょうか。
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学生時代に北京に初めて行ったとき、地下鉄だか電車だかのチケットを買った窓口でお釣りが飛んできたことがあります。
当時はチケットの自動販売機がなく、窓口での購入だったのですが、そのお釣りを窓口のスタッフは投げてくるのです。
投げるといっても振りかぶって投げてくるわけではなく、あたかも紙くずをゴミ箱に捨てるようにさらっと投げるわけですが、かなりショックだった記憶があります。
雑に扱われたという意味のショックではなく、肌の青い人間に遭遇したかのような“驚き”という意味でのショックでした。
最近の都市部では、お釣りを投げるといった所作はかなり減っているだろうと感じられます。
また、高速道路の窓口スタッフの接客も、最近180度の転換ー血の通わない冷徹なロボット接客から、訓練されたスマイル接客への転換がありました。
それでもお釣りを投げる行為がゼロになったわけではありません。
もともとお釣りを投げて渡すのは、客を客と思わない国営企業的な慣習から来ているのかなと思ったりしていました。
もしくは、経済発展が離陸する前には「接客」という概念がそもそもなかったことが影響しているのかなとも想像したりしました。
しかし、タバコを投げて渡すような習慣を考えてみると、そもそも「投げて渡す」ということ自体に、それほど失礼さを感じない土壌があるような気がするのです。
つまり、「お釣りが飛んでくる」のは、国営企業や社会主義の影響ではなく、そもそもその行為が失礼なものだとは社会的に認識されていないのではないか、中国ではそれを別に失礼だとは思わない風土があるのではないかと思えるわけです。
お釣りを丁寧に渡す文化が知れてしまった以上、そもそも中国の人がどう思っていたのかを知ることはもう難しいかもしれません。
ただ、タバコを投げて渡す姿をみると、投げて渡すのは失礼ではないと思っているように見えます。
少なくともそのあたりの原始的な感覚は、日本人とは違ったものを持っているのです。
そして、タバコが飛んできても、それは自分に怒っていたりするわけではない、ということは確実なようです。