今回は「謝謝」と「ありがとう」の違いについて紹介したいと思います。
「え、謝謝とありがとうは同じでしょ?」
と思ったかた、確かにそのとおりなのです。
辞書を引けば謝謝=ありがとうと出てくるでしょう(サボって引いてない:笑)
ただ、その使い方が微妙に違っているのです。
そんな面白い違いを今回は紹介しましょう!
驚くべきことに、「ありがとう」にあたる「謝謝」という言葉は、中国人の身内の間ではほとんど使われません。
日本人は「親しき仲にも礼儀あり」という言葉にも言われるように、身内や近い友人でも何かをしてもらったときに「ありがとう」と言うのは普通の感覚かと思います。
しかし中国人の間では、「謝謝」は身内以外のよそ者に使われる言葉で、身内に何かをしてもらったときは、特殊な場合を除いて「謝謝」は使いません。
「謝謝と言われると、距離間を保たれているような気がして嫌な感じ」
妻(中国人)にそんなことを言われたことがあります。
「謝謝」を頻繁に言うことで、良い関係を維持できると私は思っていました。
しかし、そうした思惑とは逆に、「謝謝」が「よそよそしさ」のようなものを彼女に感じさせていたようです。
というのも「謝謝」は関係の近い人には使わない習慣があるからです。
第三者や知らない赤の他人に向けて使うのが「謝謝」という感覚が中国人にはあります。
だから、身内間では「謝謝」はほとんど使いません。
義理の父母が互いに向かって「ありがとう」と言うのは聞いたことがない、そう妻は断言します(笑)
身内はお互い助け合うのは当たり前、謝謝なんて白々しい、というわけです。
近い身内、たとえば両親や兄弟に、ちょっとしたことをお願いしたときに「本当にどうもありがとう」と頭を下げてお礼を言う。
そのくらいのよそよそしさが、身内への「謝謝」にはあるような気がします。
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翻訳的には、「ありがとう」=「謝謝」です。
ただ、日本語の「ありがとう」と同じ感覚で「謝謝」を身内に使うと、どうも違うのです。
これは旅行やビジネス、語学学習では通常知り得ず、中国語のテキストでも、こんなことが書いてあるのは見たことがありません(笑)
中国人の身内に飛び込んで初めて知り得るのですが、私も今だに慣れない感覚があります。
中国の人は、身内という感覚が日本人の感じるものとは少し違うようです。
中国人の身内感は、日本人のそれよりももっと強くぴったりとくっついていて、身内以外とはその対応を大きく変えるのです。
日本人は身内であっても赤の他人であっても、おしなべて似たような対応になりやすいですが、中国では身内と赤の他人に対する対応がかなり違う、といったら分かりやすいでしょうか。
極論を恐れずに言えば、中国では、身内以外は基本的に「敵」として見ます。
日本人が「性善説」であれば、中国人は「性悪説」で動いているといってもいいかもしれません。
自分の周りの人間関係をどう見ているか、という点で日中には大きな差がありそうです。
その結果が、謝謝の使い方に現れているような気がしています。
※なお、中国語にも「親しき仲にも礼儀あり」に近い表現「相敬如宾」があります。