騙された方が悪いと考える中国社会ー日本人と中国人の感覚の違い

こんにちは!kammyです。

中国社会は、日本社会とは当然ながら異なる面をもっています。

日本では、「騙す方が絶対的に悪く、騙される方は正義」という考え方が一般的です。

一方で、中国では「騙される方が悪く、騙す方は賢い」という風に考えることが普通です。

え?騙される方が悪い?

ちょっと日本では受け入れがたい考え方ですよね。

いったいどういうことでしょうか?

日本と中国の具体例をあげながら少し詳しく解説してみましょう。

日本のカフェで見かけたおじさんの話

そのおじさんは、メニューの表示方法が気に入らなかったらしく、カウンターで店員に文句を言っていました。

場所は日本の都内タリーズ。

詳しくは聞き取れなかったのですが、

「騙してるってことだよ?」

「詐欺みたいなもんじゃないか?」

というようなセリフは何度か聞き取れました。

どうも彼的には、メニューの表示が不適切で、それはお客を騙しているってことだよ=そしてそれはとても悪いことだよ、ということを言いたいらしいのです。

一般的感覚からいって、不適切な表示はないと思うのですが、そのおじさんにはそう見えたのでしょう。

私が引っかかったのは、「騙してるってことだよ?」という言い回しでした。

おじさんは、“騙しているからあなたの方が悪いよ(僕は悪くないよ)”ということを言いたいのです。

それを聞いたときに、とても日本人的な特徴だなと感じました。

このおじさんの表現は、「騙す」もしくは「嘘をつく」ということが悪いことだとお互いに認識していることが前提で話が成り立っています。

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クレーンゲーム

もちろん騙すことや嘘をつくことを良しとする国はないでしょう。

ただ、中国ではもう少しその感覚が違っています。

「騙すよりも、騙された方が悪い」という感覚が強いのです。

少し前に日本のニュースで、景品が取れないようにクレーンゲームを設定したとして、詐欺の疑いで逮捕された人の話がありました。

小さなニュースでしたが、これを妻(中国人)に話すと、「こんなので騙された方が悪い」というのです。

記事では「60万円以上使った」と話している人もいると紹介されていました。

まぁこれは確かに60万円まで気付かなかったということですから、騙された方も悪いかなという感じが日本人でもするのですが(笑)、それでもやっぱり日本だと騙した方が悪いと思われる。

「正直さを美徳」とする土壌があります。

中国で同じことをしようとしたら、少しやって景品が取れないと分かれば、お客は騙されていると感づき自然と離れていくでしょう。

そしてもしそれで多額のお金を使ったとしても、中国人なら騙された自分が悪い、と思うはずです。

狡猾や老獪がポジティブ、純粋や素朴がネガティブ

「嘘が美徳」とまでは言えませんが、多くの中国人にとって「盛る」くらいは普通で、騙されるのは騙された側に賢さが足りないからであり、騙す側が賢いという感覚になります。

繰り返しますが、嘘をついたり騙したりすることを良いと思っているわけではありません。

「騙すことはいいことでしょ?」と中国人に聞いても、当然そうではないと言うでしょう。

少しマイルドに別の表現すれば、「狡猾」や「老獪」にポジティブなイメージがあると言えばいいでしょうか。

そして、「純粋」や「素朴」にネガティブなイメージがあるのです。

だから、冒頭で出た日本のおじさんは、中国人から見たら意味不明な論理を話しているように見えるかもしれません。

中国で同じことを言っても、「あなたが悪い」という感覚が強くは付いてこないのです。

誤解を恐れずいえば、「あなたは賢い、わたしはバカです」と言っているようにも聞こえてしまうかもしれない。

おじさんはあやうく(?)騙されそうになったからです。

些細な違いですが、「騙す方が絶対に悪い」というのは少なくとも中国では通用しない考え方です。

タリーズにスヌードを忘れて取りにいったのですが、こんな風に綺麗に包装までしてくれてました。すごい!日本人でもちょっと感動しました。忘れ物なのに、売り物みたいに変身!こういうことがさりげなくできるのは日本ならではです。

 

kammy

約20年近く中国・中国人と関わっている中国通。中国や中国人のことが好きで、その面白さを伝えるべくブログを書いています。妻は中国人。