こんにちは!kammyです。
中国では、土地はすべて国有です。
つまり、個人の土地「所有権」というものは存在せず、与えられているのは土地の「使用権」のみです。
だから、以前ここでもちらっと紹介したような街や村単位の一斉破壊と一斉整備が可能なのです。
少し前まで建物がたくさん建っていて、お店も営業していたのに、気付けばあっという間に更地になっている、ということはよくあります。
所有権を国が保有しているかたちなので、そうした一斉撤去にもある程度の正統性が付与されているわけです(もちろん無償&強制的に立ち退きが実施されるという意味ではありません)。
親戚のおじさんは、よく私に愚痴をこぼします。
「日本は個人の土地所有が認められているからとてもよい。中国では使用権しか認められておらず、それも期間が50年だ」
(使用権の期間に関しては多少違いがあります)
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そこに怒りのようなものがあるのは、お金を稼いでも心底安心してそれを維持することが難しい、という感覚があるからなのでしょう。
さらに、そのおじさんの親戚筋がむかしの地主階級だったことと無関係ではないかもしれません。
中国ができてすぐの1950年代に、中国全土で土地改革が行われました。
もともと地主が所有していた土地は、共産党によってなかば強制的に農民に分配されました。
生産に責任を持たされた農民は、自らの働きが自らの豊かさにつながることになったため、農業生産は増加しました。
中国全体の経済規模の拡大という点でみたら良いことだったのかもしれません。
ただ、そのおじさんの、おそらくお祖父さんあたりは、「土地を奪われた」ことをリアルなものとして生々しく体験したに違いありません。
そして、それはおそらく口頭ベースでそのおじさんの意識に染み付いているような気がします。
「いつ財産や資産を取られるか分からない」という恐怖感があるのだろうと思います。
中国人は、金や宝石など換金可能なものを好む傾向があると言われます。
それはどこで何があっても生き抜いていくための、潜在意識に染み付いた“生存能力”なのかもしれません。
たまたま土地使用の権利書を目にする機会があり、そんなことを思ったのでした。
余談になりますが、お金を稼いだ中国人は不動産投資をまず考えるようです(少し前まで株も主流でしたが)。
金や宝石への換金が好まれると書きましたが、多額になるとそれにも物理的に限界があるのだろうと思います。
だから、たとえ使用権が50年であっても不動産に流れる。
ただ、不動産の売買が本格的に始まったのは90年代半ば以降からだったはずです。
だから、「中国の不動産市場」というのは始まってから20数年しか経っておらず、とても新しい市場です。
新しいからといって何か特別であるわけではないのですが、改めて「まだ20数年」と知ると、とても短い感じがして、妙な驚きを覚えてしまいます。
それだけ短い歴史にもかかわらず、不動産は経済的に大きなパフォーマンスをもっています。
2016年の数字だと、GDPの約30%は不動産開発投資だそうです。
さらには、地方政府の税収の約60%が不動産関連といいます。
60%って異常な気がします。
ちなみに日本の地方税収だと同じ項目は(単純比較はできなそうですが)約1%。固定資産税が20%ちょっとあるけれども、中国には固定資産税はありません。
あっという間に中国経済にとってなくてはならない要素になっている。
このあたり、もう少しちゃんと調べて比較したら、なんか面白いことが見えてきそうな予感です。