古い街並みが残っている通りが、街の郊外にあります(「佛坛老街」と言います)。
市の中心から少しはずれた郊外にあるため、急速な経済発展から取り残された場所なのでしょう。
その取り残されたことが現在では功をなして、古い街並みを活かしたちょっとした観光地になっています。
同じように経済発展に取り残されたために古い街並みが残り、今ではその古さを武器に、都市部の観光客を集めている村が近郊にはけっこうあります。
そうした街はまた別の機会に紹介したいと思いますが、今回のその通りには、いろいろなものを売るお店が立ち並んでいて、そのひとつに木製の調度品を売るお店がありました。
オリジナルのお洒落な木製品が気に入ったので、以前来たときにいくつか買ったことがありました。
そのお店が今回来てみると、店頭でまったく違うものを売っていました。
それは、梨と蜜を混ぜて作ったシロップで、中国語では「梨膏」と言われるノドによい飲み物でした。
由来は中医学だと思うのですが、梨がノドによいとされていて、家庭でも風邪をひいて咳がひどかったりすると、梨を甘く煮た汁を飲んだりします。
その梨に関連してか、梨関係のスナックや果物も販売していました。
以前販売していた木製品は、販売をやめたわけではなく、どうやら奥の方で引き続き販売していたようです。
理由はよく分かりませんが、木製品のお店が梨シロップを販売するというのは、変わり身が早いというか、潔さがあるというのでしょうか。
さらに店頭には、梨シロップとこの街(義烏)の関わりが書かれていて、その説明が「西暦1582年・・・」という出だしから始まるのです。
このあたり、とても中国っぽいなぁと思います。
最近まで木製品だけを売っていたお店が、梨シロップを突然売り始め、そのシロップと街の関わりをなかば無理やり数百年前の逸話から持ってきて店頭に掲示する。
このやや華麗な(?)転身っぷりに、中国らしさがあるような気がするのです。
よく言われるように、中国人は商売がうまいと言えばそうなのかもしれません。
お金を儲けるためにその手段は選ばないというか、少なくとも同じようなシチュエーションで日本人が抱くであろう「ためらい」のような感覚が少ないような気がするのです。
このあたり、日本人は多少ねちっこく、中国人はあっさりしてる気がします。
どちらが良い悪いの問題ではなくて、ただ違うというだけです。
同じ通りの別の場所では、婦人洋服屋さんが店頭で焼き芋を売っていました。
季節柄、寒くなってきたのでちょうどよいと思ったのでしょうか。
木製品のお店に通じる融通さがあるような気がしました。
息子が好きなので、少し割高な焼き芋を思わず買ってしまい、店主の思惑通りという感じです(笑)