中国の田舎の結婚式:新郎新婦の出発を邪魔する風習(江西省)

こんにちは!kammyです。

「中国の田舎の結婚式ってどんなんだろう?」

と疑問に思う方もいるかもしれません。

今回、中国の田舎(江西省の農村)での結婚式に参加しました。

中国は広いですから、ひとえに「田舎」といってもたくさんあり、その風習も星の数ほどありそうです。

今回は、そのひとつの例として江西省の農村での結婚式を紹介します。

とにかく一緒にご飯を食べる

基本的には一緒にご飯を食べてワイワイがやがやするのがメインです。

なんか出だしから身も蓋もないいいかたですね・・・笑

2−3回、近所の人も集まってきて大勢でご飯を食べたでしょうか。

なんで回数があいまいなのかというと、私は親族の一部なので合計ではもっと一緒にご飯を食べているからです。

誰とどういうふうにご飯を食べたのか、忘れてしまったというわけです(笑)

で、大勢で集まって食べたのは2−3回だったかなと。

ご飯を食べる場所は、その花嫁の実家の前。

通常は新郎の家になるのでしょうが、今回、新郎が遠方から来たかたちだったので花嫁側でもてなすというかたちに。

外に、大きな丸いテーブルがいくつも出され、料理や飲み物がたくさん置かれます。

200人ほどの小さな村なので、その4分の1くらいは参加していたことになるのでしょう。

あまり堅苦しいルールやマナーのようなものはなく、ただちょっとした中国的な儀式がいくつかありました。

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全体として「花嫁は出渋る」

新郎が、花嫁を迎えにくるというかたちになります。

ただ、(これは浙江省でも同じですが)花嫁は自分の部屋からなかなか出てこようとしません

それを新郎があの手この手をつかって、時にはなにかゲームをやらされて、花嫁を連れ出すという流れです。

最終的には花嫁をぶじ連れ出して「めでたしめでたし」となるのですが、そこまで「花嫁は出渋り、花嫁側親族はそれをサポートする」のが習慣です。

村から出させない

特徴的で面白いと思ったのは、最後に新郎新婦が村を出ていくときのこと。

玄関から車まで赤い絨毯が引かれて、そこを新郎新婦が歩いて車に乗って村を出て行くことになっています。

ただ、前方には別の車が止められていて道を遮断。

新郎新婦を村から出させないようにしているのです。

その周りでは数人の男たちが言い合いのようなものをしていました。

これも通例の習慣のようで、彼らが道を開けないと新郎新婦は村を出て行くことができません。

邪魔をする人たちは数人組。そのボス的な人物と新婦側の人が言い争いをしています。

これも上記と同じように、ある種の演技というか結論の決まったやらせなわけです。

で、どうやって道を開けてもらうのかというと、最終的にはタバコをあげます。

もし浙江省で同じようなシチュエーションがあれば、現金が入った赤い小さい袋(紅包)を渡すのですが、ここではタバコを渡すのが風習。

「お金を渡すとまるでお金をもらいに来たと思われるのは失礼だから」と現地の人の説明ですが、そういうものなのかもしれません。

とにかくタバコがめでたい席で使われる通貨のようなのです。

食事の席でもしょっちゅうタバコのやりとりが行われていました。

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プロレスに近いのかもしれない

邪魔団との言い争いは、けっこう激しいものでした。

タバコの量についてなかなか決着がつかなかったらしく、新婦の父が「まったくなんなんだやつらは、ほんと面倒だ面倒だっ!」と怒って言いながら、家の奥からタバコのカートンを抱えて言い争いの現場に駆けつけるのを見ました。

風習なのだからタバコを渡すのは仕方ないと思うのですが、それでも限度はあるようで、新婦の父は本気で怒っていたように見えました(笑)

言い争っているんだけれど、それぞれに許容量みたいなものがあり、そのどこかで折り合いをつける。

感覚的には「プロレス」に近いのかなと思ったりしました。

プロレスは、本気でやれば相手に重傷を負わせることもできるけれど、お互いそこまではやらない。

でも表面上は本気で戦っているように見せて、そのやりとりを見て観客は楽しむ。

そういう演劇的な要素がプロレスにはあると思うのですが、この邪魔団とのやりとりもそれに近いかなと。

本気であれば、いつまでも邪魔を続けることもできるけれど、そこまではやらない。

お互いにふっかけ合ってどこかでタバコ量に折り合いをつける。

今回、その「邪魔団」のボスは合計8カートンものタバコをもらったそうです。

1カートンが8,000円近くする「中華」という比較的値段の高いタバコで、合計6万円超のタバコを邪魔団は受け取ったことになります。

まだまだ邪魔する人たち

村を出た後も、まだ邪魔団は現れます。

村を出たところで、一本道に車を横向きにして止め、先に進めないようにしていました。

横付けされた車から出て来た邪魔団と、新郎新婦側の親戚がまた言い争いを始めます。

何個のタバコで折り合いがついたのか分かりませんが、話がつくと車はわきに避け、やっと道を通れるようになりました。

多いときには村から出ていく道で何回もその邪魔団が道をふさいで、村を出るのに何時間もかかることもあるそうです。

今回はいろいろと事情があって2回のみでした(笑)

タバコ代は多いときで合計2万元=約35万円を使うこともあるとか。

物価水準を考えると、日本円で言えば少なくとも100万円相当ぐらいはあると思います。

道を邪魔する人にどいてもらうのに100万円。ちょっと考えづらいですね(笑)

この邪魔団、今回は新婦の知り合いとのことですが、村の人や近隣の村人が邪魔をしてくることもあるようです。

新婦が出て行くのを邪魔するのは、新婦に嫁いで行ってもらいたくないことを行動で表現しているのかもしれません。

そうすることで新婦という人材の大切さを示そうとしているのでしょうか。

また、邪魔する人たちにタバコをあげるのは、普段の感謝を表現しているのかなと思ったりします。

習慣・風習の存在理由は複雑なので詳しくは分かりませんが、タバコで話をつける、というのが興味深い結婚式でした。

 

↓↓邪魔団と最初の折り合いがついたときです↓↓

 

真っ赤な絨毯が引かれ、そこを新郎新婦が歩いて出て行きます。

ザ・邪魔団! 一番右の人がボス的な存在で、4カートンのタバコを抱えています。 右手前に少しだけ見えるのが新郎新婦が乗る車。

村を出たところでも、邪魔団が道をふさいでいました。 そしてタバコ交渉が始まります(笑) 出て行こうとする新郎新婦側は7−8台の車で来ていて、道は一本道なので軽い渋滞状態です。

kammy

約20年近く中国・中国人と関わっている中国通。中国や中国人のことが好きで、その面白さを伝えるべくブログを書いています。妻は中国人。